独特な投球フォームやその経歴から、ヤクルトスワローズの投手陣の中でも異彩を放つのが小澤怜史選手です。
2023年は1年を通して先発・中継ぎとフル回転し、キャリアハイの6勝4敗の好成績をおさめました。
ちなみに苗字は「おざわ」ではなく「こざわ」と読みます。
小澤怜史選手は福岡ソフトバンクホークスから育成契約でヤクルトスワローズに移籍し、支配下登録を勝ち取った苦労人です。
サイドハンドから投げ込む独特の投球フォームで、150kmを超える速球と5種類の球種を織り交ぜ、打者を打ち取ります。
今回は小澤怜史選手の持ち球となる球種や投球フォームなどについて、紹介します。
小澤怜史の球種は?
小澤怜史選手と言えば、独特のサイドハンドから放たれる多彩な変化球が特徴です。
小澤怜史選手の球種はフォーク・スライダー・カーブ・カットボール・チェンジアップの5種類の変化球です。
そこに150kmを超えるストレートが加わります。
特に、そのサイドハイドの投球フォームからのフォークボールは、一度浮き上がった後に横に滑り落ちるという独特の軌道を描きます。
プロ初登板となった2022年6月26日の読売ジャイアンツ戦では6奪三振を奪いましたが、そのうち4つがフォークボールで奪った三振でした。
相手チームにとっては、当然データもなく、珍しい投球フォームからあまり見たことのないような球種を投げられると、打者はそう簡単に打てるわけがないですよね。
期待された高卒ルーキーも怪我に苦しみ、育成契約を得て戦力外に
静岡県三島市出身の小澤怜史選手は、日本大学三島高等学校から2015年にドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団します。
契約金6000万円、入団時の年俸は700万円(いずれも推定)で、高卒新人選手としてはそれなりに期待されていたことがうかがえますね。
当時は普通のオーバースローから速球を投げ込む、本格派投手でした。
入団2年目となる2017年8月24日の埼玉西武ライオンズ戦でプロ初登板。
この年は初勝利こそあげることができませんでしたが、2試合に登板しました。
その後は怪我に苦しめられ、2018年シーズンオフに育成契約となります。
そして2020年シーズンオフに戦力外通告を受け、福岡ソフトバンクホークスを退団します。
育成契約でヤクルトへ。フォーム改造が実を結び、ついに花開く
福岡ソフトバンクホークス退団後、最後の挑戦と腹をくくって出場した12球団合同トライアウトでヤクルトスワローズから誘いを受け、育成選手として入団します。
入団後の2021年に、課題の制球難を克服するため、投球フォームを現在のサイドスローに変更します。
結果的にはこの投球フォーム変更が功を奏したようです。
翌2022年に二軍でストッパーとして成績を残し、6月26日に念願の支配下登録を勝ち取ります。
同日に早くも読売ジャイアンツ戦に登板、1766日ぶりの一軍登板となりました。
背番号も014から70となりますが、この最初の登板では新しい背番号のユニフォームが間に合わず、014番のユニフォームでマウンドに上がる、珍しい光景となりました。
この試合、無死満塁というピンチを無失点に切り抜けます。
突然のシンデレラボーイの登場に神宮球場は大いに沸きました。
このシーズンはプロ初勝利を含む2勝に終わりますが、初先発も経験するなど、飛躍の大きなきっかけをつかんだ一年となりました。
2023年シーズンは低迷するチームの苦しい投手事情の中、先発・中継ぎとフル回転し、29試合に登板、14回の先発で6勝をあげ、チームの台所を支えました。
与えた死球はリーグワースト2位。課題の制球難を克服し、より信頼される投手へ
一方で、小澤怜史選手の大きな課題は制球力です。
福岡ソフトバンクホークス時代からの課題ではありますが、好投を続けていても突如制球を乱す癖があります。
制球難はその四死球の数に表れ、特に登板数の多かった2023年シーズンでは相手打者に与えた与死球がリーグワースト2位の9個でした。
その多くは左打者への変化球のコントロールミスが原因です。
本人も2023年シーズンの活躍により手ごたえをつかみつつ、「変化球の精度向上が課題」と自覚しています。
より多くの経験を積み重ね、自信を深めていくとともに、自分自身の技術にしっかりと向かう姿勢があれば、さらに信頼される投手に成長することが期待できますね。
小澤怜史の球種は?【まとめ】
福岡ソフトバンクホークスからヤクルトスワローズへ育成選手として移籍し、努力で支配下登録を勝ち取った小澤怜史選手。
苦労人と言ってもまだ25歳の若手投手、伸びしろは十分にあります。
制球力という明確な課題があるので、これから持ち前の多彩な球種の精度をさらに高め、ヤクルトスワローズの投手陣の柱となって欲しいところです。
ヤクルトスワローズの高津臣吾監督は現役時代、同じサイドハンドの名投手でした。
長年ストッパーとして、持ち前の繊細な投球術で何度も苦しい場面を切り抜けてきた高津臣吾監督からは、吸収できることが多いのではないでしょうか。
これからもさらに磨きのかかった投球で、艶やかなシンデレラストーリーを見せてくれることを、期待しましょう。