2023年、中日ドラゴンズにプロ19年目を迎えた大物・涌井秀章投手が加入しました。
二塁のレギュラーだった阿部寿樹選手を放出してまで、実績ある先発投手が欲しかったことが分かります。
移籍1年目は5勝13敗と、キャリアワーストを更新する負け数となりましたが、熟練の投球術は見る者を魅了しました。
涌井秀章投手の持ち味である制球力と、多彩な球種を生かした投球は、キャリア初のセ・リーグでも通用し、今後のさらなる活躍に期待が集まっています。
そこで今回は、涌井秀章投手の活躍を支える球種について探っていきます。
涌井秀章投手の球種
涌井秀章投手の球種は、スライダー、シンカー、チェンジアップ、カーブの4つを中心としています。
その他に、シュート、スプリット、カットボールと、多彩な変化球を持っています。
中でも、スライダーとシンカーは、涌井秀章投手の投球を支える球種になっています。
右打者に対して逃げていくスライダーと、右打者の膝元に沈んでいくシンカーは、カウントを問わず、いつでも投げている印象があります。
涌井秀章投手が最も信頼を置いている変化球であり、逆方向に変化する球で打者を困惑させています。
140キロ中盤辺りを記録する直球と投球の軸を形成し、打たせて取ることも三振を奪うこともできます。
最も魅力的な涌井秀章投手の球種
涌井秀章投手の球種を語る上で、欠かせないのがシンカーです。
一般的に、シンカーは横手投げの投手が投じることが多く、涌井秀章投手のようなスリークォーターの先発型投手が得意球としている話はあまり聞きません。
涌井秀章投手の魅力であり、他投手との違いをみせています。
右打者に対し、外角のボールゾーンからストライクゾーンに曲げるバックドアとしても有効で、楽にストライクを奪っている印象があります。
自滅するタイプではなく、自慢の制球力が存分に発揮されている球種です。
スライダーは他投手との大きな違いはありませんが、淡々と打者を打ち取る涌井秀章投手に欠かせない変化球となっています。
気の毒だった打線の援護
2023年シーズン、涌井秀章投手は打線の援護が得られませんでした。
チームは12球団最低の得点数、本塁打数を記録し、開幕当初から課題を克服することができませんでした。
涌井秀章投手は4月に4試合登板しましたが、最初の3試合の援護点は0点、1点、0点と、先発投手としての役割を果たしても勝ち星がつかないという状況でした。
その状況は9月の最終登板まで変わらず、21試合に先発して援護点が3点以下だった試合は半数以上の15試合。
1試合平均の援護率は2.5点と、気の毒になるほど打線の援護に恵まれませんでした。
冷静かつ淡々と多彩な球種を投げ込み、打者を困惑させる投球を続けていたにも関わらず、7月に早くも10敗目に到達したことはチームの責任です。
新たな球種、投球割合を変える可能性
涌井秀章投手の変化球が次々に捉えられたのが7月。
シーズン序盤の好投が嘘のようで、打撃投手かと思うほど打ち込まれました。
17日の阪神戦では3回途中で降板、28日の巨人戦ではまさかの2回途中で降板しました。
これまでと同様、多彩な球種と自慢の制球力で打者と対峙しましたが、癖があるのかと思わされるほど打たれました。
37歳という年齢もあり、引退の文字もチラつきました。
カーブやチェンジアップで緩急もつけていましたが、全てが上手くいっていない印象を受けました。
その後、8月下旬に復活の白星を挙げましたが、今後の活躍が心配になりました。
球速を伸ばすことは年齢的にも限界があるため、新たな球種を増やすか、もしくは縦に落ちるスプリットの投球割合を増やしていくのではないかと考えています。
球速を落とさず縦に変化するスプリットが加わることで、さらに投球の幅が広がり、ここぞの場面で三振を奪える可能性が増えます。
涌井秀章投手の球種について【まとめ】
今回は涌井秀章投手の活躍を支える球種について探りました。
多彩な変化球を持っていますが、特に信頼を置いているのはスライダーとシンカーの2球種だと考えています。
2023年シーズンは打線の援護がありませんでしたが、今後も打者を困惑させる投球で勝ち星を伸ばすことに期待が集まります。
ただ、全てが上手くいかず先発の役割を果たせなかった時期もあり、年齢的にも引退の文字が迫ってきています。
ベテランの域に突入しているレジェンド右腕が、どこを強化してくるのか。
これまでの投球スタイルを変えることはないと思いますが、新しい涌井秀章投手が見られるかもしれません。
その時にも支えになるのは、多彩な球種だと考えています。