プロ野球界で数々の伝説を残してきた名将・野村克也監督。
データを駆使し、頭を使う野球としてID野球を提唱、現代のデータ重視のプロ野球の源流となっています。
野村克也さんの多くの教え子たちが、現在も監督やコーチとしてその教えを実践し、また次の世代へと受け継ごうとしています。
この影響力の強さの秘訣は、野村克也さんの言葉の力にあります。
それらはこれまでの野村克也さんの野球人生になぞらえ、生まれた名言です。
野球に限らず、人間として生きていく上で大切なことを教えてくれる名言の一つである、
「心が変われは人生が変わる」
今回は多くの人の心に響く野村克也さんのこの名言について紹介します。
若い頃からの様々な逆境を乗り越えたことが、名言を産み出す土台となっている
野村克也さんは京都府出身。
1954年に南海ホークスへテスト生として入団します。
下積み時代の苦労が実を結び、やがて南海ホークスの監督兼捕手兼4番打者として活躍します。
現役晩年は「ヒラ選手」としてロッテオリオンズ・西武ライオンズと渡り歩き、生涯一捕手を全うします。
1990年からはヤクルトスワローズで監督を務め、4度のセリーグ優勝・3度の日本一に輝くと、その後は阪神タイガース、楽天イーグルスでも監督を務め、多くの選手を育ててきました。
貧しかった幼少期、テスト生としてのプロ入り、挫折、現役晩年の不遇な扱いなど、多くの逆境に見舞われ、それでも信念を貫き、いくつもの壁を乗り越えてきました。
野村克也さんは現役当時、人気絶頂の読売ジャイアンツ長嶋茂雄さんや王貞治さんと比較し
「王や長島はヒマワリ、俺は日本海の海辺にひっそり咲く月見草」
と語っています。
一見自虐的にも聞こえる言葉ですが、あまりにも境遇の異なるライバルに負けたくないという負けん気、一方でそのライバルがいたからこそ今の自分があるという感謝の気持ちが込められている、野村克也さんらしい言い回しです。
このような生き方が、野村克也さんの名言を産み出す土台となっているのでしょうね。
「変わる勇気を持て」心を変えると人生が豊かになる
「心が変われば人生が変わる」
数多くの名言を残された野村克也さんの、まさに珠玉の言葉です。
心が変われば態度が変わり、態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わり、運命が変われば人生が変わる。
ヤクルトスワローズという弱小チームを率いた時に、野村克也さんが取り組んだのは、選手の野球に対する向き合い方を変えることでした。
意識が変わることで野球観が変わり、それによって日頃の行いや一つ一つのプレーに対する取り組み方が変わる。
それらが技術や評価を上げ、チームの優勝や個人タイトルにつながる。
それらの栄誉によってその人の人生が変わる。
全ては心を変えることから始めれば、やがて人生が豊かになる。
つまりは「変わる勇気を持て」ということです。
変わる勇気を持ったチームは躍進。名言に支えられ選手は大きく成長する
実際に野村克也さんとの出会いから人生が大きく変わった多くの選手を見ていると、この名言が指し示す意味が強く伝わります。
野村克也監督が様々なチームの監督に就任するたびに、ミーティングの長さばかりが、おもしろおかしく報じられてしまいます。
しかしその内容は、戦術的なことだけではなく、野球への向き合い方を通して人間としてどう生きるか、ということにつながる話でした。
1980年代に暗黒時代を過ごし、負け犬根性が染みついていたヤクルトスワローズでしたが、野村克也監督のその言葉を実直に受け止めた選手たちは大きく成長します。
ヤクルトスワローズは野村克也監督就任3年目でセリーグ優勝、就任4年目に見事日本一となりました。
感謝という言葉は、野村克也さんの人生そのものを表している
野村克也さんは「人生の基本となるのは感謝である」という名言も残しています。
野村克也さんはことあるごとに感謝という言葉を使いました。
人は一人では決して生きてはいけない。
社会や自然に対する感謝、さらに宗教を持つ持たないにかかわらず、この世を動かしている大いなる摂理に対する感謝など、我々が感謝しなければならないものはたくさんある。
そう述べています。
野村克也さんの人生を振り返ると、その感謝という言葉の重みが良くわかります。
1993年、ヤクルトスワローズは15年ぶりの日本一に輝きます。
野村克也さんにとっても、監督として初めて手にした日本一でした。
試合後のインタビューで
「ファンの皆様、選手諸君、コーチ、球団の方々、皆さんに感謝、感謝、感謝です」
とスピーチしました。
野村克也さんの思いの集大成と言っても良いスピーチだったのではないでしょうか。
野村克也監督の名言「人生が変わる」について【まとめ】
野村克也さんは2020年2月に惜しまれつつ亡くなられました。
2021年12月に行われた「野村克也を偲ぶ会」では、教え子の一人であるヤクルトスワローズ高津臣吾監督が
「最後に監督にこの言葉を送ります。感謝、感謝、感謝」
と、日本一の時の野村克也さんの言葉を用いて弔辞を述べました。
野村克也さんの教えが、今でも関わった多くの人の心に根付いているのでしょうね。
野村克也さんの名言は、野球だけではなく、仕事や、人間そのものに熱く問いかけてくれる言葉です。
心を変えることで人生が変わること。
全てのものに対して、感謝の気持ちを持つこと。
閉塞感の漂う現代において、まさに必要な言葉ではないでしょうか。
野村克也さんの心は、これからも受け継がれ、生き続けることでしょう。