2022年シーズンからヤクルトスワローズでプレーしている外国人投手、ピーターズ選手。
メジャーリーグでは3球団を渡り歩き、通算13勝をあげました。
180cm88kgと、特別大柄な体格ではありませんが、6種類の変化球に、150kmを超えるストレートを投げ込み、打者を翻弄します。
日本の打者にもしっかりと対応し、特に2023年シーズン前半は先発として安定した投球を披露、低迷するチームの投手陣を引き締めてくれました。
左投手の少ないチームにとっては、今や欠かせない戦力ですね。
今回はヤクルトスワローズで貴重な左腕として活躍するピーターズ選手の球種や、その投球スタイルについて紹介します。
ピーターズの球種
多彩な球種で打者を翻弄する投球術。右打者は少し苦手。
ピーターズ選手の球種は、150km前後のストレートに6種類の変化球です。
変化球は、スライダー・カーブ・カットボール・ツーシーム・スプリット・チェンジアップを駆使します。
基本的には力でねじ伏せるタイプではなく、多彩な球種で打者を翻弄、凡打の山を築くタイプですね。
ストレートでカウントを稼ぎ、縦に大きく曲がるカーブや、横に滑り落ちるスライダーなど、持ち球の変化球を万遍なく使い、緩急をつけることで、打者に狙い球を絞らせない投球スタイルです。
変化球を多用する左投手のため、被打率.250・2本の被本塁打におさえている左打者に比べると、右打者には被打率.262で、6本の本塁打を打たれています。
ただ、打者の左右によって大きく投球内容が変わるということはなく、比較的同じような攻め方をしているようです。
その投球パターンを読まれることもあってか、シーズン終盤にはやや打ち込まれるシーンもありました。
打者を困惑させるその投球術は、同時に来シーズン以降の課題とも言えます。
イチロー選手や大谷翔平選手とチームメイトだったメジャー時代
ピーターズ選手は、アメリカ合衆国インディアナ州出身です。
2014年にマイアミマーリンズにドラフト10巡目で指名され、プロ入りします。
2017年9月に念願のメジャーデビューを果たし、そこではイチロー選手とも一緒にプレーしたようですね。
2019年からはロサンゼルスエンゼルスでプレーし、大谷翔平選手とチームメイトになりました。
日本人のトッププレーヤー2人と一緒にプレーできたことにより、この頃からある程度は日本のプロ野球に対する知識をつかんでいたのではないでしょうか。
2021年シーズン途中にパイレーツへトレードされ、メジャーでのキャリアハイとなる5勝をあげます。
そして2022年12月、ヤクルトスワローズと推定年俸1億5000万円で1年契約し、日本の土を踏むこととなりました。
メジャーリーグでは、通算13勝12敗、防御率5.30、59試合の登板を果たしています。
1年目は及第点。日本になじもうとするその姿勢もファンの心をとらえる
ヤクルトスワローズに入団後、開幕から先発ローテーションとして安定した投球を見せます。
打線の援護に恵まれない試合が多かったこともあり、なかなか勝ち星が伸びていきませんでしたが、チームの苦しい投手事情の中では貴重な存在となります。
シーズン終盤はやや打ち込まれることもありましたが、最終的に6勝5敗、防御率3.22の成績をおさめました。
ピーターズ選手は、日本の打者について「コンタクト能力がアメリカの打者とは違う」と分析し、読売ジャイアンツの岡本和真選手、横浜DeNAベイスターズの宮崎敏郎選手・牧秀悟選手などの打撃技術を讃えています。
他にも、積極的に日本食を口にするなど日本流の生活になじもうと努力し、アメリカとはまた違う日本の野球を理解しようと努めるピーターズ選手のその姿勢には、ファンも心から応援したい気持ちになれますね。
外国人選手の活躍のためには、心落ち着く環境づくりがとても大切
ヤクルトスワローズは、伝統的にファミリー的な雰囲気のあるチームと言われています。
その雰囲気は、異国からやってきた外国人選手にとっても馴染みやすく、精神的に落ち着いてプレーに集中できることにつながります。
ヤクルトスワローズには、ホセ・オスナ選手・ドミンゴ・サンタナ選手・サイスニード選手と言った、ピーターズ選手と同年代の先輩外国人選手が在籍しています。
ピーターズ選手がチームに溶け込みやすい環境でもあったのですね。
また、ヤクルトスワローズは2023年にはピーターズ選手の他、キオーニ・ケラ選手、ライネル・エスピナル選手の2人の外国人選手も同時に入団しています。
いずれも期待通りの働きはできず、すでに退団してしまいましたが、初めて日本でプレーするピーターズ選手にとっては心強かったと思われます。
外国人選手の日本での活躍は、個人の能力だけではなくその環境づくりがとても大切なことがわかりますね。
ピーターズの球種【まとめ】
2年連続セリーグ優勝から一転、5位と低迷してしまった2023年シーズンのヤクルトスワローズ。
その苦しい投手陣を支え続けた一人が来日一年目のピーターズ選手でした。
メジャーリーグでともにプレーしたイチロー選手・大谷翔平選手などの一流の日本人選手や、日本で同僚となった先輩外国人選手たちに支えられ、それなりの実力を発揮できた1年だったのではないでしょうか。
ヤクルトスワローズは、この活躍を評価し、翌シーズンへの残留交渉を行っています。
日本の野球に慣れた来シーズンは、その投球術にさらに磨きをかけ、勝利に貢献してくれることでしょう。
再びヤクルトスワローズのユニフォームを着て日本で活躍してくれることを多くのファンは待ち望んでいます。