盗塁とは、プレー中に相手チーム(主にピッチャー)の隙をついて、次の塁へ進塁するプレーです。
多くの場合、ピッチャーが投球動作に入ったタイミングで次の塁へ走ります。
キャッチャーからの送球でセーフになれば盗塁成功、アウトになれば盗塁刺と記録されます。
盗塁は、一つでも先の塁へ進塁することにより、その後の得点につながる可能性を高め、攻撃側が有利に試合を運ぶことができます。
しかし、セーフになったにもかかわらず盗塁が記録されない場合や、盗塁自体が禁止されているケースもあります。
例えば、点差が離れた試合での盗塁や、相手チームがランナーに無関心な場面での盗塁は、盗塁としては記録されない場合があります。
今回は、盗塁が記録されない様々なケースを紹介します。
不文律とは、ルールには記載されていない守るべき心構え
野球には、公式野球規則には記載されていない不文律というものがあります。
大量の点差がついた場合など、勝敗がほぼ決している状態でさらに相手を痛めつけるようなプレーはしてはいけないという、古くから形成されてきた紳士的な心構えのことです。
これを破った場合、特にメジャーリーグなどでは、報復死球を与えられ、中には乱闘騒ぎに発展する場合もあります。
日本でも、メジャーリーグと共通するものや、日本独自の考えに基づいたものなどがあります。
日本のプロ野球では、メジャーリーグ程過激ではないものの、不文律を破った選手への極端な内角攻めや、相手ベンチからの罵声、観客からの大量のブーイングが起こることなど、しばしば見られますね。
盗塁が不文律に該当するケースとは
盗塁はこの不文律に該当するケースが多くあります。
まず、点差が開いた試合では盗塁をしない、という不文律が存在します。
これも、すでに敗戦が濃厚となった相手チームをさらに痛めつける行為とみなされるからです。
これは日本でもメジャーリーグでも同様の不文律が存在します。
実際に2017年6月6日に行われた横浜DeNAベイスターズ対楽天イーグルスの試合、リードが8点差にひらいた場面で横浜DeNA梶谷隆幸選手が盗塁をします。
梶谷隆幸選手は次の打席に、報復として楽天久保裕也選手から何度も身体に当たりそうな危険な球を投げられます。
これらの行為によりひと騒ぎとなり、この試合自体が警告試合となってしまいました。
点差に関しては明確な基準はなく、一般的には6点差以上と言われています。
しかし、時には5点差の場面での盗塁で相手監督から苦言を呈されることもあり、その考え方にはあいまいさが見られます。
記録上で言うと、不文律でタブー視されているとはいえ正式なルールとは異なるため、キャッチャーがその盗塁を刺すための行為を行った場合、セーフになれば盗塁が記録されます。
守備側が「無関心」の場合は、盗塁は記録されない
一方で、実際に盗塁とは記録されないケースもあります。
ランナーが盗塁を試みたにもかかわらず、相手チームが無関心だった場合です。
無関心とは、例えばキャッチャーがランナーを刺すための送球動作を行わないケースなどがあります。
点差が開いた試合などでは、不文律により盗塁はタブーとされています。
そのような状況で盗塁を試みたランナーに対しては、守備側があえて無関心を装い、抗議の意を示すこともしばしば見られます。
このプレーに対しては、2008年より公式野球規則に「原注」を付け、無関心とみなす詳細な条件を加え、このような進塁を盗塁として記録されないとしました。
このルールは、点差が開いたか開いていないかかわらず、審判の判断で盗塁の可否を認定することとなります。
ただし、キャッチャーが送球しなかったことがすべて「無関心」とされるわけではありません。
例えばノーアウトあるいはワンアウト一・三塁の場面で、一塁ランナーが二塁へ盗塁した場合です。
この時、キャッチャーが二塁へ送球すると、その隙に三塁ランナーがホームを突くこともあり、あえて二塁へ投げないこともあります。
この場合は、無関心という扱いにはならず、一塁ランナーには盗塁が記録されます。
学童野球では盗塁そのものを禁止している場合もある
学童野球では、そもそも盗塁自体禁止にしているところもあります。
特に身体が未発達な低学年層の子供同士の試合では、簡単に盗塁ができてしまい、試合そのものが成立しない場合もあります。
そのため、正式なルールとして盗塁を禁止にしている地域もあるようです。
草野球などを経験されたことのある人はわかるかもしれませんが、素人同士の野球では、盗塁したランナーをキャッチャーがアウトにするというプレーはとても困難です。
それこそ、足の速い人であれば、簡単に二塁・三塁と盗塁できてしまいます。
そう考えると、盗塁や、盗塁を刺す技術というのは、まさにプロの高度な技なのでしょうね。
盗塁が記録されない?その様々なケースを詳しく解説!【まとめ】
今回は、盗塁が記録されないケースについて、その不文律や、正式なルールを紹介しました。
実際には、かなりあいまいな部分が多く、同じような場面でも盗塁と記録されたり、逆に記録されないなどのケースが多々見られます。
実際、不文律というもの自体が、人間の感情的な部分を根拠とする以上、あいまいなものです。
いわゆる、相手チームを敬う姿勢というのが、こういった様々な決め事に表れています。
野球をプレーするもの、観戦するもの、双方に気持ち良い試合となるように、さらに精錬されたルール作りも必要なのかもしれませんね。