プロ野球観戦は、生で選手のプレーを見ることができ、球場のその雰囲気を味わうことができます。
しかし、硬球が飛び交う球場は危険がいっぱいです。
特に、頻繁に観客席に打ち込まれるファールボールは危険。
当たると大ケガにつながる事故になります。
実際にこれまでも観客席のファンに直撃したこともありましたが、ファールボールが当たる確率はどのくらいなのでしょうか。
正確に調査されたことはありませんが、収容人数トップの阪神甲子園球場の場合、47400人の観客がいる中で、一人の観客にファールボールが当たる確率はかなり低いと思われます。
それでも、何が起こるかはわかりませんね。
球場でも頻繁にファールボールに気を付けるようアナウンスが繰り返されています。
今回は、ファールボールが当たる確率や、その危険性について解説します。
ファールボールが当たる確率は、様々な状況の中で、おおよそ0.1%ほど
プロ野球の試合において、一般的にファールボールが観客席に入る回数は1試合あたり数回から10数回程度と言われています。
ただし、球場の形や、観客席の配置、選手の打撃や投球の特性、風の影響などの状況によって異なります。
もちろん、直撃することもあれば、バウンドして跳ね返ったボールが当たることもあります。
また、プロ野球の本拠地で最もキャパの多い阪神甲子園球場と、最もキャパの少ない千葉マリンスタジアムでも、当たる確率は変わってきそうです。
これらの様々な環境・状況において、ファールボールが当たる確率を正確にはじき出すのは難しいのですが、おおよそ0.1%以下ではないでしょうか。
日本でも大ケガにつながった、ファールボールによる事故が起きている
プロ野球の試合でも、実際にファールボールが観客に当たる事故が何度か起きています。
2010年8月31日、札幌ドームで北海道日本ハムファイターズの試合を家族で観戦していた女性が、一瞬子どもの様子に目を向けたその際に顔面にファールボールが直撃しました。
女性は右顔面骨骨折及び右眼球破裂、右目の失明という重大な大ケガを負ってしまいます。
その後、民事裁判にて球団に損害賠償の支払いが言い渡されました。
同じように、2008年には、クリネックススタジアム宮城球場(現・楽天モバイルパーク宮城)で楽天イーグルスの試合を観戦中、ビールを購入していた男性の顔面にファールボールが直撃、右目眼球破裂の重傷を負いました。
このケースでは失明は免れたものの、その後視力は急激に落ちてしまいます。
札幌ドームの事例同様に民事裁判が行われましたが、こちらでは被害者の損害賠償請求は棄却されています。
日本のプロ野球では死亡事故はないものの、メジャーリーグでは少なくとも5件以上のファールボールによる死亡事故が発生しています。
改めてファールボール直撃の危険性を強く感じます。
観戦中は、観客もボールから目を離さないようにすることが大事
実は危険性の高いファールボール、自分の近くに飛んで来た時の上手なよけ方はあるのでしょうか?
まず一番大事なことは、プレー中はボールから目を離さないことです。
裁判にまで至った事例では、いずれもボールから目を離したそのタイミングで直撃しています。
球場では試合中に何度も「ファールボールには十分ご注意ください」というアナウンスが流れることに気づくかと思います。
また、球場の係員が、自分の担当する観客席のエリアにファールボールが飛んできた際には、笛を大きく鳴らし、周りの観客に注意を促しています。
当たる確率は確かに低いかもしれませんが、「まさか自分には起こらないだろう」と高を括らず、それぞれの注意喚起には観客自身も意識を向けて欲しいところです。
ファールボールを自ら取りに行く行為は、自分だけでなく他の観客にとっても危険
ファールボールの危険性を軽視し、自らファールボールを取りに行こうとする観客もたまにいます。
現代のプロ野球では、ファールボールは取った本人にプレゼントされます。
そのため、まさにリアルタイムで扱われていたそのボールを手に入れるために、グラウンドに身を乗り出したり、観客席の中でダイビングキャッチを試みる強者まで見ることもあります。
しかしこれらは明らかに危険な行為であり、球場側もそのような行為はしないよう注意喚起しています。
そうでなくとも、ファールボールとは言えプロ野球選手の打った打球を素手で獲ること自体、ケガにつながりやすくなります。
最近では野球用グローブを持参し、ファールボールを取る気満々で観戦するファンも増えてきましたが、いずれにせよ、自分だけではなく他の観客にまで危険を及ぼす可能性を意識しておくようにしたいものですね。
ファンサービスの広がりも進む中、観客は自分で自分の安全を守る義務がある
野球観戦の際、チケットの裏面には試合観戦契約約款第13条が記載されています。
そこには観客自らが安全に注意する旨が明記されています。
もちろん球場側でも、ヘルメットやグローブの貸し出しを行うなど様々な安全配慮を行っています。
また、最近ではファンサービスとして選手による観客席へのボールの投げ入れなどが行われますが、公式ホームページや球場のアナウンスなどで、自分の席から離れて取りに行かないよう呼び掛けています。
ただ、ファンサービスの拡大や、臨場感を優先させる観客席の設定など、危険と隣り合わせの状況がこれからも続くことが予想されます。
球場側での安全配慮にも限界があり、試合観戦契約約款第13条に記載されている通り、観客が自分で自分の安全を守る義務というのが不可欠ですね。
フォアボールが当たる確率は?【まとめ】
プロ野球に試合におけるファールボールの危険性について調べてみると、思っていたよりも危険性の高いことだと感じます。
確かに当たる確率は極めて低いと言えますが、実際に大ケガにつながった事故が何度も起きていることを忘れてはなりません。
もちろん危険であるのは観客だけでなく、例えば仕事柄ボールから目を離すことの多いビールの売り子さんも同じです。
野球観戦はその熱いプレーを生で見ることのできる最上級の楽しみ方です。
しかしそこには安全性が保たれていなければ、とても悲しい体験となってしまいます。
球団に安全に配慮した対応を求めると同時に、自分の身は自分で守るという意識を高めることにより、皆が楽しく、満足できるプロ野球観戦でありたいですね。