フォアボールとは、四球とも呼ばれ、ピッチャーが4球ストライクゾーンから外れた球を投げることです。
バッターは安打や本塁打などを打つことなく、一塁へ出塁することができます。
バッターはフォアボールを選ぶだけでは打点はつきません。
しかし、走者満塁の場面でフォアボールを選び、押し出しで得点が入ると、そのバッターは打点1を記録することができます。
野球の記録のルールにおいて、打点というのは細かな条件が決められており、様々な状況の中で打点が認められるもの、認められないものと分かれます。
その中で、今回はフォアボールでもバッターに打点がつく場面を中心に調べてみました。
バッターに打点がつくケースの中で、打たずして打点を記録することもある
打点とは、基本的にはバッターがヒットや本塁打を打ち、それによって走者がベースを踏んで得点すると、そのバッターに加算される記録です。
しかし、ルールの中では、バッターが打つことなく打点が記録されるケースもあります。
まず、得点が入った時にバッターに打点がつくケースについて、整理します。
・本塁打を打つ
・スクイズが成功する
・犠牲フライを打つ
・内野ゴロを打つ
・ゲッツー崩れになる
・相手チームにフィルダースチョイスが生じる
・満塁時にフォアボールを選ぶ
・相手チームに打撃妨害が生じる
・相手チームに走塁妨害が生じる
これらのケースで走者がホームインした時に、バッターに打点が記録されます。
ゲッツー崩れや、打撃・走塁妨害などに関しては、打点を記録するには、その状況によってさらに細かな条件があるようです。
フォアボールが打点になる事もある
満塁の場面でバッターがフォアボールを選ぶと、押し出しとなり3塁走者がホームイン、バッターは打つことなく打点1を記録します。
ピッチャーとしては、バッターに打たれるよりも、フォアボールを出して点を取られることの方が悔しいのではないでしょうか。
バッターの場合、満塁で打順が回る、あるいは代打で打席に立つと、打つことと同じように、フォアボールを選ぶことも考えます。
そのため、走者がいないときの打席よりも、ピッチャーのストライクゾーンをより見極めるようとします。
タイトルがかかっている場面でない限り、「打点を稼ぐため」という理由でフォアボールを選ぶことを考えるバッターは少ないかもしれません。
しかし、チームの勝利につなげるため、無理に打ちに行って凡打するよりは、きわどいボールに手を出さなかったり、ファールで粘るなどして、最終的にフォアボールで押し出しを狙うケースは多いです。
押し出しのフォアボールになると、得点が入ったとはいえ、球場全体も何とも言えない溜息が漏れることもありますね。
メジャーリーグでも日本でも、これまで何度か満塁で敬遠されることがあった!
日本のプロ野球の通算打点記録は読売ジャイアンツ王貞治さんの2170打点です。
一方で四球の数も2390個で日本記録です。
王貞治さんほどの強打者であれば、2170打点の中で相当数の押し出しフォアボールでの打点が含まれているのではないでしょうか。
なお、王貞治さんでも、さすがに満塁の場面では敬遠されたことはありません。
メジャーリーグでは、サンフランシスコジャイアンツのバリーボンズ選手が、シーズン73本塁打の世界記録を打ち立てた1998年に、満塁の場面で敬遠されています。
相手チームからすると、本塁打で4点取られるよりも押し出しの1点にとどめた方が、勝つ可能性が高い、と考えたのでしょう。
メジャーリーグでは過去に6回、満塁敬遠が行われています。
日本のプロ野球でも満塁での敬遠は2度ありましたが、いずれもタイトル獲得のための作戦でした。
1975年、中日ドラゴンズの井上弘昭選手は、広島東洋カープの山本浩二選手と首位打者争いをする中、直接対決で満塁の場面でも敬遠され、首位打者を逃します。
これが日本プロ野球の公式戦における史上初の満塁での敬遠四球となり、井上弘昭選手には打点1が記録されています。
同じく、1982年、阪神タイガース掛布雅之選手と本塁打王争いをしていた中日ドラゴンズ宇野勝選手が、満塁の場面でも敬遠され、本塁打は打てなかったものの打点1を得ています。
強いプレッシャーのかかる満塁で、一度も押し出しをしなかったピッチャーもいた!
ピッチャーの立場であれば、満塁にした時点で押し出しフォアボールのことが頭をよぎるのではないでしょうか。
初球・二球目とストライクが取れないと、球場全体も異様な雰囲気に包まれます。
また、先発投手として投げ続けてきたピッチャーと、満塁の場面でマウンドに送られたリリーフピッチャーとでも、そのプレッシャーは異なるのかもしれません。
プロ野球では何度かサヨナラ押し出しで決着した試合もあります。
ファンからすれば「ど真ん中に投げて打たれて負けた方がましだ」と思う人もいるかもしれませんね。
それほど、満塁というのはピッチャーにとって強いプレッシャーがかかるということになります。
ヤクルトスワローズで長年エースとして活躍し、引退後は様々な球団で監督や投手コーチを務めた尾花高夫さんは、14年の現役生活の中で一度も押し出しフォアボールを出しませんでした。
通算2203イニング連続押し出しフォアボール無しは日本記録です。
この間、163回も満塁の場面で投げています。
コントロールの良さだけではなく、マウンド度胸に優れたピッチャーだったことがわかりますね。
フォアボールが打点になる事もある?【まとめ】
フォアボールというのは、試合の勝敗を分ける重要なものであり、その日のピッチャーの調子を判断する大きな目安とも言えます。
バッターとしては豪快なバッティングを見せたいところではありますが、フォアボールが多いことは強打者の証であり、選球眼の良さはバッティングにとても重要です。
最高出塁率というタイトルがあるように、フォアボールが多いことは、それだけチームに貢献したと言えるでしょう。
加えて、満塁の場面でフォアボールを選ぶと、バッターに打点1が記録されます。
試合の行方を左右するフォアボールには、作戦・投手とバッターの駆け引き・技術・心理・そして記録と、様々な要素があるのですね。
試合を観戦しながら、一つのフォアボールが生み出す様々な影響を考えてみるもの面白いのではないでしょうか。