韓国がデッドボールで謝らない理由は?日本と海外とでは暗黙の了解が違う!

2023年3月に行われたwbcで、韓国のピッチャーが日本の1番打者ヌートバー選手にデッドボールを与えたことにより、日本と韓国それぞれで物議を醸しました。

韓国では、デッドボールを受けたヌートバー選手がピッチャーを睨みつけたことに対する批判。

日本では、デッドボールを当てたピッチャーが帽子を取って謝らないことに対する批判です。

これはどちらが正しいか正しくないか、というよりも野球における暗黙のルールの違いからくるものと考えられます。

今回は、日本と韓国だけではなく、日本と海外との暗黙のルールの違いについて、デッドボールのケースを中心に詳しく調べてみました。

目次

韓国ではデッドボールを謝らないの?

2023年3月10日に行われたwbc第1次ラウンド、日本対韓国の試合で事は起きました。

6回無死1,3塁の場面で打席に立った日本の1番打者ヌートバー選手に、相手ピッチャーである韓国のキム・ユンシク選手が背中へデッドボールを当てます。

直後、ヌートバー選手が10秒ほどキム・ユンシク選手を睨みつけながら一塁へ歩く姿がテレビに映し出されます。

試合ではそれ以上の混乱は起きませんでしたが、試合後、韓国プロ野球のOBであるパク・チャンホ氏が韓国のメディアで「わざと当てたわけではない。メジャーリーグにまで行った選手が、あんな姿を見せない方がいい」とヌートバー選手の態度について発言。

この発言に日本のファンが反応し、「デッドボールを当てて謝らない方がおかしい」と応酬する事態となりました。

海外の野球では帽子を取って謝るという習慣がない!?

ヌートバー選手と韓国のキム・ユンシク選手双方の態度について論じる前に、まずは日本と海外のデッドボールに関する暗黙のルールの違いを理解する必要があります。

日本では、デッドボールを当てたピッチャーはまず帽子を取り、謝罪の意を打者に示します。

かつて日本で度々起こっていたデッドボールによる乱闘は、帽子を取って謝らないことが多くの原因とされてきました。

しかし、メジャーリーグでは、デッドボールを当てたピッチャーが帽子を取って謝ることは基本的にはありません。

これは、謝ることは「わざと当てたと認めた」を意味することとなります。

さらに「帽子を取る」という慣習はそもそもメジャーリーグにはありません。

日本のメジャーリーガーがデッドボールを当ててしまった際に、日本式の「謝罪」を示すと、時には奇異に見られてしまうことがよくあるようです。

その一方で、背中へのデッドボールは「わざと当てた」ととらえられるようです。

そのため、背中にデッドボールを受けたヌートバー選手は、反射的にキム・ユンシク選手を睨みつけたということがわかります。

批判の遠因となった故意死球発言は、大谷翔平選手を讃える意味だった

今回、韓国のキム・ユンシク選手が批判を浴びた理由は、デッドボールを当てて謝らないことだけではありませんでした。

日本対韓国の試合が行われる前、韓国のコ・ウソク選手が日本の大谷翔平選手との対戦について

「投げるところがなければ、(お尻など)痛くないところに当てるしかない」

と発言。

これを韓国メディアが「故意死球発言」と報じ、物議を醸しました。

当然日本でも同様に報じられたことで、わずかながら遺恨を残してしまったのではないでしょうか。

その燻る遺恨がヌートバー選手へのデッドボールとその後の韓国メディアの報道によって着火してしまったようにも感じます。

ただ、コ・ウソク選手の発言は、大谷翔平選手が凄すぎて、どこに投げても打たれる気しかしない、という称賛の意味を込めたコメントです。

コ・ウソク選手本人も後日自らの失言を謝罪し、

「限界に挑戦し続け、勝ち抜く姿は素晴らしい。アスリートとして勇気をもらっている」

と改めて大谷翔平選手に対する尊敬の気持ちを語っています。

国による慣習の違いに加え、日本と韓国の特別な関係が輪をかけた

wbcで韓国キム・ユンシク選手がデッドボールを当てても謝らないことに対する考え方は、日本と韓国の慣習の違い、というよりは日本と海外の慣習の違いと言えるのではないでしょうか。

wbcのように、文化の違う国々が同じフィールドに集い、対戦するスポーツでは、それぞれの異なる慣習の違いからトラブルが生じることが度々見られます。

加えて、日本と韓国は良い意味でもライバル関係にあります。

wbcだけでなく、オリンピックでも毎回熱い戦いを見せてくれますね。

絶対に負けたくない、という強過ぎる気持ちが、一つ一つのプレーに反映されるのでしょう。

そのため、このデッドボールの一件もクローズアップされてしまったと思われます。

ヌートバー選手の計らいに、熱いスポーツマンシップを感じた!

さて、背中にデッドボールを受け、思わずキム・ユンシク選手を睨みつけてしまったヌートバー選手ですが、試合後には

「ちょっと凝っているところに当ててくれたから、ちょうど良かった」

とジョークを飛ばし、多くの人の心をなごませてくれました。

熱い戦いはグラウンドの外ではなく、グラウンドの中のプレーで、というその姿勢に日本中が強い感銘を受けましたね。

ヌートバー選手は普段はメジャーリーガーとして活躍しています。

それでも日本流の野球を理解し、チームに溶け込むその姿は、国の慣習を越えたスポーツマンとしての素晴らしさを体現してくれます。

韓国ではデッドボールを謝らないの?【まとめ】

今回は、wbcの日本対韓国の試合で起きたデッドボールでの騒動をもとに、日本と海外の暗黙のルールの違いについて調べてみました。

デッドボールという一つのルールに対する行動について、これほどまでに見解の違いがあるのも驚きです。

しかし、世界を舞台として戦う以上、お互いに理解をしておく必要があります。

そういった点では、今回のwbcでのデッドボールのシーンはそれほど問題ではないように思えます。

ただ、慣習の差こそあれども、相手に敬意を払うというスポーツマンシップは当然あって然るべきです。

しいて言えば、韓国から見るとヌートバー選手、日本から見るとキム・ユンシク選手、それぞれにその敬意が感じられなかったという見方をされたのではないでしょうか。

世界を知るということは、また新たな考え方を育んでくれます。

そのことで、またこれからの新しいwbcの楽しみ方が増えそうな気がしますね。

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