野球の花形のポジションと言えばピッチャーです。
野球はまずピッチャーが球を投げるところからスタートします。
しかし、バットという用具を使ってプレーするバッターと違い、ピッチャーはまさに己の体を使ってプレーすることとなります。
そのため、常にケガがつきものですね。
登板するごとに肩や肘を酷使するピッチャーは、登板後にはアイシングを行います。
アイシングのやり方としては、専用の固定具を肩や肘に装着し、決められた時間、患部を冷やす作業です。
降板後のベンチや、ヒーローインタビューなどでアイシングしたままの姿を見せてくれることもよくありますね。
今回は、現代の野球には欠かせない、ピッチャーのアイシングのやり方やその効果・メリットについて、詳しく説明します。
ピッチャーのアイシングのやり方とその効果
ピッチャーのアイシングとは、投球後に肩や肘を冷やし、炎症を抑えて、ケガの予防と回復を促進するための作業です。
やり方は、氷や冷却パッドを肩や肘に15分から20分程度装着します。
これにより血流が制御され、炎症や筋肉の収縮が軽減されます。
アイシング後はストレッチなどを行うことで関節と筋肉を活性化させ、急激な温度変化を避けます。
この一連の作業によって疲労の軽減やケガの予防となり、その後のさらなるパフォーマンスの向上につながります。
選手個々の体調や専門のトレーナーの指示に基づいて、アイシングは効果的なリカバリー手段として導入されています。
アイシングを継続的に行うことは、多くのメリットがある
ピッチャーがアイシングを行うことには多くのメリットがあります。
まず、登板後に発生する筋肉や関節の炎症を軽減することです。
ピッチャーの投球動作は肩や肘に負担をかけ、その動作を試合中に繰り返し行うことで炎症が起こります。
アイシングにはこの炎症を抑制し、回復しやすくする役割があります。
急速に冷やすことで血管を収縮させ、血流を抑制するため、肩や肘といった局所的な痛みなどを軽減することができます。
また、アイシングはケガの予防にも効果があります。
投球による肩や肘の過度な負担は、靱帯や筋肉の損傷を引き起こすリスクがあります。
アイシングによって、働いてくれた身体の組織を冷やすことで、ケガを防止することができ、安全にプレーすることができます。
この冷却方法は、筋肉や関節がリラックスする効果があります。
このように、アイシングを継続的に行うことで、慢性的な炎症や過労を防ぎ、シーズンを通して最適な身体の状態を維持することができます。
アイシングには、氷、サポーター、冷却スプレーなど、様々な方法がある
アイシングに使われる道具として最も身近なものは氷です。
やり方としては、冷凍庫で凍らせた氷を袋に詰めて患部に当てる方法で、アイスパックのような形でドラッグストアでも気軽に購入することができますね。
大きなバケツや容器があれば、そこへ氷を入れた冷水を張り、肘から肩にかけて一定時間浸すというやり方もよく使われています。
また、肩専用・肘専用といったサポーター型のアイシング用品も販売されています。
テレビ中継などで登板後のピッチャーが装備しているのがこのタイプになります。
回復のための装具とは言え、装着している姿はなかなかかっこ良いでよね。
大人だけでなく、今では高校生から小学生に至るまでこういったサポーターを使用していることが見受けられます。
他にも、バッターが死球を受けた時などに応急処置として使用される冷却スプレーもアイシングの一環です。
スポーツをされている子どものいる家庭など、一本常備しておくと便利ですね。
「太く短く」よりも、長く安定して野球を続けるためのマネジメント
野球に限らず、昨今スポーツの世界では、ど根性が求められる猛練習よりも、いかにケガを防止するかという点に焦点が当てられています。
特にピッチャーの場合は、身体、特に肩や肘をといった一部分を酷使するため、ケガにつながりやすく、今では高校野球でも球数制限が設けられるようになりました。
令和の怪物と言われた、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が、高校3年生の夏の地方予選決勝で、これまでの予選大会での球数などを踏まえ、監督指示により登板を回避、チームが敗退したことは、賛否両論飛び交いました。
しかし現代の考え方としては、太く短くよりも、将来的に長く野球を続けられることの方が大切だという考えが主流です。
特にピッチャーの肩は消耗品と言われ、現代のプロ野球では先発ピッチャーが9イニング完投することも滅多に見られなくなり、規定投球回数達成者も年々減少しています。
ちょっと寂しい気持ちもありますが、いかに故障を防ぎ、年間通して安定したプレーを続けられるかということが、現在のピッチャーのマネジメント事情につながっています。
そのため、専門の用具を使い、適切な方法で行われるアイシングという作業が、ケガを防止する上でとても重要となりますね。
ピッチャーのアイシングのやり方【まとめ】
ピッチャーのアイシングのやり方などについてまとめました。
スポーツ医学やリハビリテーションにおける研究は毎年のようにアップデートされ、それによって科学的根拠に基づいたリハビリテーション方法が生み出され続けています。
スポーツおいて、回復というテーマはとても大事です。
研究された根拠やその時代に合わせた考え方によって、ピッチャーの身体は守られ、それが最大限のパフォーマンスにつながっているのですね。
ファンとしては応援しているピッチャーが長く活躍できることが最高の喜びとなります。
アイシングにはそういったファンの思いにこたえるための役割もあるのですね。