プロ野球のピッチャーの一番の魅力と言えば、打者を圧倒する剛速球です。
古くから、プロ野球のファンはピッチャーが投じる剛速球にロマンを感じて来ました。
現代ではスピードガンの進化により、すぐに球速が表示されますが、そのような機械がなかった時代には、世界には170kmを超える球を投げるピッチャーがいたと、まことしやかに言われたものでした。
この10数年、ピッチャーの技術の向上だけでなく、ボールの性質やスピードガンの精度向上などによって、速球の最高速度が上がってきました。
では、実際に公式的なピッチャーの最高速度は誰がどのくらい出したのでしょうか?
日本のプロ野球の最高速度は読売ジャイアンツに所属したチアゴ・ビエイラ選手が計測した166kmです。
最近では160kmを超える速球を武器とするピッチャーも増えてきました。
今回は、そのような驚異的な最高速度を投じたピッチャーについて、紹介します。
ピッチャーの最高速度(国内)
チアゴ・ビエイラ選手は、ブラジル出身。
メジャーリーグのシカゴホワイトソックスなどでプレーしたのちに、2020年に読売ジャイアンツに入団します。
当初から制球難が不安視されていましたが、初登板から160kmを超える速球を披露。
2年目となる2021年シーズン中にはクローザーを任されます。
その年の8月13日の中日ドラゴンズ戦9回表に登板し、日本プロ野球最高速度となる166kmをマークしました。
チアゴ・ビエイラ選手はこの年、32試合無失点の歴代外国人選手記録や、2度の月間MVP、オールスターゲームにも選ばれるなど大活躍。
3敗19セーブ1ホールド、防御率2.93の成績を残します。
しかし翌2022年は不調で9試合登板に終わり、この年を持って退団。
日本プロ野球最高速度を記録したチアゴ・ビエイラ選手はわずか3年で日本を去りました。
日本人最高速度の一人、大谷翔平選手は日米で165kmをマーク。
日本人で最高速度を記録したピッチャーは、当時北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手と千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希選手で、165kmをマークしています。
花巻東高校時代にも160kmをマークし、当時からメジャーリーグからも注目されていた大谷翔平選手。
北海道日本ハムファイターズ入団後は、前評判通りの快投と、二刀流で日本中を虜にしましたね。
2016年6月5日の読売ジャイアンツ戦で、当時の日本記録となる165kmをマークします。
なお、大谷翔平選手はメジャーリーグ・ロザンゼルエンジェルス入団後の2021年にも4月4日のシカゴホワイトソックス戦で自己最高速度に並ぶ165kmを投じています。
大谷翔平選手の様々な活躍を見ていると、この数字も最早驚かなくなりましたね。
令和の怪物・佐々木朗希選手も165kmをマークし、日本人最高速度に並ぶ
佐々木朗希選手は、大船渡高校時代に非公式記録ながら163kmを計測したと言われ、令和の怪物と呼ばれます。
その後2020年に千葉ロッテマリーンズに入団。
3年目の2022年4月10日オリックスバファローズ戦では、世界記録となる13者連続奪三振・日本記録タイの1試合19奪三振・そして史上16人目勝史上最年少となる完全試合を達成しました。
とんでもない記録が生まれたと日本中が大騒ぎになりましたね。
その佐々木朗希選手は、2023年4月28日のオリックスバファローズ戦で、大谷翔平選手が持つ日本人最高速度に並ぶ165kmをマークします。
まだ22歳の佐々木朗希選手、これからどんな信じられないような記録を達成するのでしょうか?
楽しみは尽きません。
メジャーリーグ最高速度は169.1km。夢の170kmも見えてきたか
メジャーリーグでの最高速度は、かつてシンシナティレッズに所属した伝説の大投手アロルディス・チャップマンで、その速度は驚くことなかれ169.1km(105.1マイル)です。
キューバ出身のアロルディス・チャップマン選手は、2010年にシンシナティレッズと契約。
同年の9月24日のサンティエゴパドレス戦で、トニー・グウィン・ジュニア選手に対し169.1km(105.1マイル)を計測します。
トニー・グウィン・ジュニア選手は「目の前を通り過ぎるまで見えなかった」と驚きを隠せない様子でした。
さらに2011年4月のピッツバーグパイレーツ戦で、球場表示で103マイル(170.3km)を記録しましたが、テレビ中継では105マイル(169km)、公式の速度計では102.4マイル(約164.8km)と計時。
170.3kmに関しては公式記録とは認められませんでした。
バッターとしてはこれほどの球速となれば1~2kmの差は変わらないかもしれませんが、夢のような170kmという記録も見てみたいものですね。
かつての大投手も160kmを超えていた!?記録にない記憶にはロマンが宿る
スピードガンのなかったかつての日本プロ野球のピッチャーでも、「160kmは超えていた」と言われる快速球を投げていたピッチャーは多く存在します。
戦前に大日本東京野球倶楽部(現読売ジャイアンツ)に入団し、火の玉投手と呼ばれた沢村栄治選手は、間違いなく160kmの速球を投げていたという言い伝えがあります。
また、怪童と呼ばれ東映フライヤーズで活躍した尾崎行雄選手、阪神タイガースのエース村山実選手・江夏豊選手や、阪急ブレーブスの速球王山口高志投手。
彼らも160kmに迫る球速を投げていたという証言が多くあります。
これらの証言は、あくまで当時の対戦選手や同僚などの「記憶」によるものではありますが、彼らが現代のプロ野球に存在していたら、どれだけの記録を達成するのでしょうか。
それこそロマンを感じますね。
ピッチャーの最高速度について【まとめ】
一昔前は140km以上投げるピッチャーは速球派と呼ばれ、150km台をマークすると新聞の見出しとなるような扱いでした。
今の時代は、高校生や大学生でも150km以上をマークするピッチャーが増えましたね。
ピッチャーの投げる快速球はいつの時代でもファンを歓喜させ、大きな話題を呼びます。
世界を超越したメジャーリーガー大谷翔平選手や千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希選手をさらに超えるような驚愕のピッチャーがまたいつの日か現れるかもしれません。
プロ野球選手の超人的な活躍、これからもワクワクしながら期待していきましょう。