チェンジアップとは、数ある野球における変化球の一つであり、打者のタイミングを外すために使われる変化球です。
いわゆる速球よりも遅い球でありながら、打者はなぜ打てないのでしょうか。
チェンジアップは、速球と同じ腕の振りから放たれたボールが、実際には速球とは異なる軌道と球速で投じられます。
そのため、打者は一瞬速球と判断しスイングするものの、タイミングをずらされてしまうのです。
チェンジアップはそのような特徴から、打者を欺く変化球と分類できるでしょう。
特に速球派の投手にとってはとても有効的に使うことができる、便利な変化球ですね。
今回は、チェンジアップがなぜ打てないのかということについて、詳しく分析してみます。
チェンジアップはなぜ打てない?
不規則に変化しタイミングをずらす、打者にとってはやっかいな変化球
プロ野球でも、チェンジアップを武器にする投手は数多くいます。
テレビ中継などを見ていると、緩い球に打者が前のめりになって空振りをするのが時に不思議に思えます。
一見ただのスローボールにも見えるチェンジアップを、なぜ打てないのでしょうか。
それは、単純なスローボールとは異なり、実際には緩いだけでなく不規則に変化するため、バットの芯でとらえるにはやっかいな球であるからです。
また、打者は速球が来ると判断しスイングを開始するので、直後緩い変化球に対応することはとても困難です。
そのため、バランスを崩して空振りをしてしまったり、打ちそこないのゴロになりやすくなります。
球の回転数を抑え、速球よりも遅い球を投げることがコツ
チェンジアップは、投手によって様々な握り方が存在しますが、何よりも球の回転数を抑えることが必要です。
球の回転数を抑えるためには、球をリリースする時に力を加えないことも大切です。
回転数が抑えられた球は、打者の手元で沈み落ちるような変化をします。
チェンジアップで最も重要なのは、速球よりも遅い速度で投げることです。
これによって打者を混乱させ、タイミングを外すことができます。
打者に速球が来ると思いこませるには、速球を投げる時と全く同じ投球フォームで投げることが必要です。
遅い球を投げるときは、無意識に投球フォームも普段よりゆったりしてしまいがちです。
チェンジアップを使いこなすためには、日頃の投球練習の時から意識して同じフォームで投げられるようにすることが大切ですね。
チェンジアップは握り方によって様々なバリエーションの変化球となる
チェンジアップは、握り方によってその変化も様々です。
代表的な握り方をいくつか紹介します。
最もポピュラーな握り方はサークルチェンジです。
球を深めに鷲掴みするような握り方で、人差し指と親指で輪を作り、中指から小指でボールを固定する握り方です。
球速と球の回転が抑えられ、沈むような軌道を描きます。
オリックスバファローズや日本ハムファイターズで活躍した金子千尋選手がこの握り方をしていましたね。
また、フォークボールのように人差し指と中指の間にボールを挟んで投げるスプリットチェンジと言われる握り方もあります。
フォークボールとは異なり、薬指をうまく利用することで打者の手元で鋭く沈むチェンジアップとなります。
現在メジャーリーグで活躍している前田健太選手などがこの握り方をしています。
中指と薬指でボールを挟んで縦に速く落ちるバルカンチェンジと呼ばれるチェンジアップもあります。
スプリットフィンガード・ファストボールと似たような変化をする球です。
かって福岡ソフトバンクホークスなどで活躍した大隣憲司選手などが使っていました。
他にも、握り方を工夫することで様々な変化をもたらすのがチェンジアップという変化球の大きな特徴です。
このため、特にメジャーリーグでは特定の球種というよりも「直球と同じ腕の振りから投じられる球速の遅いボール全般」を指すことも多いです。
力を抜くことがポイントとなるチェンジアップは体への負担も少ない
チェンジアップは速球と同じ投球フォームで投げますが、球の回転数を抑えるためにリリース時には力を抜くことが必要です。
そのため、通常の速球よりも体への負担が軽減されるというメリットもあります。
他の変化球のように、肘や腰の使い方を意識する必要がないため、特に故障がちの投手にはありがたい変化球なのではないでしょうか。
そのため、プロ野球でも、速球があまり通用しなくなったベテラン投手がイメージチェンジを図るためにチェンジアップを取り入れたり、故障明けの投手が体の負担を抑えるために使い始めるケースもよく見られます。
チェンジアップはなぜ打てない?【まとめ】
今回は、チェンジアップはなぜ打てないのか、という点について詳しく分析しました。
チェンジアップという変化球自体が様々な側面を持っていて、打者にとってはとても打ちにくい球に違いありません。
投手にとっても、チェンジアップを有効的に使うことにより、投球の幅が広がり、打者との対戦を有利に運ぶことができます。
日本では、野球を初めて最初に覚える変化球はカーブという印象がありますが、アメリカではチェンジアップを覚えることが主流のようです。
打者はチェンジアップをなぜ打てないのか。
それは、チェンジアップの奥深さをより知ることによって、とてもよくわかる気がしますね。