野球ではバッターは、ホームベースを起点として左翼と右翼側に伸びたラインの内側に打つことで、凡打・安打・本塁打などの記録となります。
ラインの外側に落ちた打球はファールボールとなり、2ストライクまではストライクにカウントされます。
ピッチャーはカウントを稼ぐためにファールボールを打たせることもあれば、バッターはピッチャーに球数を投げさせたり、狙い球を待つためにわざとファールボールを打つこともあります。
これらは、かなり高い技術が必要です。
ところで、ファールボールは何回でアウトなのか?という疑問を持ったことはありませんか?
実は、ファールボール自体は何回でアウトという回数制限はなく、何回打ってもアウトや出塁となることはありません。
ただ、バントの場合のみ、2ストライクからのファールでアウト(三振)となります。
今回は、ファールボールにまつわるルールやエピソードについて、深堀りしてみましょう。
ファールボールは何回でアウトになる?
ファールボールは何回でアウトになる、という決まりはありません。
かつて36本打つとアウトになる、という噂もありましたが、実際にはそういった決まりごとはなく、何本打っても良いということになります。
しかし、狙ってファールボールを打ち続けるのは、高い技術が必要です。
ピッチャーが投げる剛速球や変化球を、フェアゾーンに入れないように打ち返すことは、かなり難しいのではないでしょうか。
もちろん、バッターはファールボールを打つことが目的ではなく、安打やフォアボールなどで出塁することが目的です。
あくまで、ピッチャーの球数を増やしたり、狙い球が来るのを待つ目的で、ファールボールを打つことになります。
また、カウントが3ボールとなった後、フォアボールを狙うため、わざとファールボールを打ち続けるということもあります。
ピッチャーも、カウントを稼ぐために、打ってもファールボールになるようなコースを選んで投げ込みます。
この場合、わずかにコースがずれることで、バッターにとっては絶好球になるので、やはり高い技術が求められます。
バントの場合、2ストライク後のバントがファールボールになるとアウト
ファールボールそのものは何回でアウトになるという決まりはありませんが、バッターがバントをする場合だけルールが決められています。
2ストライク後にバッターがしたバントがファールボールになった場合は、スリーバント失敗と宣告され打者はアウトとなり、バッターには三振が記録されます。
バッターが2回バントを失敗すると、ベンチは3球目もそのままバントをさせるか、ヒッティングに切り替えるか迷うケースですね。
この時も、ピッチャーはもちろんかんたんにバントさせないよう、バットに当てるのが難しいコースに投げ込み、ファールボールにさせようとします。
まさに技と技のぶつけ合いで見どころがあるシーンですね。
ファールボールを捕らない、触れずに見送るなど、野手の瞬時の判断
ファールボールは、フェアゾーンの外側に落ちた場合にファールボールと宣告され、ボールデッド(タイムの状態)となります。
もちろん、観客席に入った場合も同様です。
ただ、ファールボールとなるエリアに上がった打球を、地面に落ちる前に捕球されたらアウトとなります。
ノーアウトまたはワンアウトの場合、ファールボールをフライで捕球されたときに、ランナーはタッチアップで次の塁へ走ることができます。
僅差の試合でノーアウトまたはワンアウト・ランナー三塁の場合、フライとなったファールボールを外野手があえて捕球しないこともありますね。
一点も取られたくない状況か、一つでもアウトをとりたい状況か、正に瞬時の判断が求められます。
その他にも、内野に転がった打球が、一塁ベースや三塁ベースのエリアに到達する前に野手に触れることなくファールゾーンへ転がり出た場合は、ファールボールとなります。
この打球のフェア・ファールの判断は、審判も神経を使うところですね。
打ちそこないのボテボテのゴロや、ラインぎりぎりに転がったバントの打球を、野手同士が取るのを制止しながら打球の行方を追うシーンなどは、コミカルにも見えてしまいます。
プロ野球記録は一打席14球。ファールボールで日本一に貢献した選手も
プロ野球で、一つの打席で最も多くファールボールを打った選手は、元近鉄バファローズ安井智規選手と、元中日ドラゴンズの富田勝選手です。
実に14球のファールボールを打っています。
ともにピッチャーには計18球投げさせ、結果は安井智規選手がフォアボールを選び、冨田勝選手は安打を放っています。
いずれも、ファールボールで粘ったかいがありましたね。
一方根負けしたピッチャーの方は、疲労感が増したのではないでしょうか。
現役の選手でも、北海道日本ハムファイターズの中島卓也選手が有名で、2015年と2016年には両リーグトップのファールボール数を記録しています。
特に2016年は渋い脇役としての活躍でチーム10年ぶり3度目の日本一に貢献。
広島東洋カープとの日本シリーズでも、巧みにファールボールを打ち続けることで相手ピッチャーを苦しめ、ファールボールを打つその技術が日本全国に知られることとなりました。
ファールボールは何回でアウト?【まとめ】
野球のルール上では、ファールボールは何回でアウトになるという決まりは存在しません。
バッターはファールボールを単に意味のない打球ととらえず、うまく活用することで、良い結果をもたらすこともできます。
ファールボールを狙って打つというのはとても難しいことです。
しかし、例えばピッチャーの剛速球に対し、バッターが必死でその投球に食らいつき、結果何球もファールボールを続けるシーンは、見ている方も徐々に興奮して、その結果がどうあれ、盛大な拍手が送られることもあります。
ファールボールは野球のプレーの中で地味ではあるものの、プレーヤーやファンを時に熱くさせる意外な存在となっているのですね。