ピッチャーが打席に立たないのはなぜ?パリーグの指名打者について詳しく調べてみた!

日本のプロ野球はセリーグとパリーグの2リーグ制ですが、大きな違いと言えば指名打者制ではないでしょうか。

セリーグだとピッチャーも打席に立ちますが、パリーグはピッチャーの代わりに指名打者が充てられ、ピッチャーは打席に立たないこととなります。

この違いは、例えば日本シリーズや交流戦、リーグ間のトレードなどで影響が生じます。

ピッチャーが打席に立たないパリーグと、ピッチャーも打席に立つセリーグ。

どちらが有利になるのでしょうか?

また、ピッチャーが打席に立たないメリットやデメリットはあるのでしょうか?

今回はパリーグで導入されている指名打者の話を中心に、パリーグでピッチャーが打席に立たない理由を深堀りします。

目次

ピッチャーが打席に立たない「指名打者」とは?

指名打者とは、英語ではdesignated hitterと言われ、その略称としてDHとよく呼ばれています。

指名打者制とは、ピッチャーの代わりに打撃専門の選手を先発メンバーに入れることです。

指名打者に選ばれたバッターは、守備にはつかず打撃に専念し、ピッチャーは打席に立たないで投球に専念するという仕組みです。

バッターの特化とピッチャーの安全性向上を図るものとして、日米のプロ野球で導入されています。

指名打者は通常、強打者や経験豊富なベテラン選手が担当することが多く、打撃に専念することで、チームの得点力の向上を図っています。

日本では外国人選手などが指名打者となることが多いですね。

メジャーリーグの指名打者制度に倣い、1975年にパリーグで導入される

指名打者は、メジャーリーグのアメリカンリーグで1973年に初めて導入されました。

ピッチャーの安全性というような理由ではなく、商業的な理由が強かったようです。

アメリカでは2022年にナショナルリーグでも指名打者制を導入し、両リーグで同じルールのもとシーズンが行われることとなりました。

一方、日本のプロ野球では、アメリカに遅れること2年、パリーグで1975年シーズンから導入されました。

アメリカの野球を模範とした制度導入ではありますが、当時のパリーグは人気低迷にあえいでいて、派手な打撃戦で人気を回復しようという思いも少なからずあったようです。

一方、セリーグに関しては、野球は9人で行うものという従来の理念により、2023年現在でも指名打者の導入には至っていません。

指名打者制は、ピッチャーとバッター双方にメリットとデメリットが生じる

指名打者のメリットは、やはりチームの得点力アップではないでしょうか。

単純に先発メンバーに強打者を一人プラスできるというだけでも効果があります。

パリーグではかつて、通算代打本塁打世界記録を持つ阪急ブレーブスの高井保宏選手がいました。

守備に難があり、かつ当時の強豪チーム阪急ブレーブスのレギュラーに食い込む余地はなかなかありませんでした。

しかし、代打として輝かしい記録を打ち立て、一躍代打男として世界に名を馳せます。

1975年からパリーグで指名打者制が始まると、それまで代打に甘んじていた高井保宏選手は、指名打者として初めて規定打席に到達しました。

このように、レギュラーには届かないものの打撃に魅力がある選手の出場機会を増やすことができるのは、チームにとっても、選手本人にとってもメリットとなります。

ピッチャーとしても、自分に打席が回るごとに代打を出され、降板するという不安が解消されます。

そのため、打順の巡りあわせに関わらず、長いイニング、登板し続けることができます。

一方で、ピッチャーが打席に立たないため、打撃力のあるピッチャーのバッティングが見られないデメリットもあります。

バッターとしても、元読売ジャイアンツのウォーレン・クロマティ選手が「自分は守備につくことで試合のリズムの作る」と主張するように、否定的な考え方もあるようです。

指名打者制を巡るセリーグとパリーグの違いが様々な影響を及ぼす

セリーグとパリーグで指名打者の制度が異なるため、特に双方のリーグが交流する場面で影響が生じています。

代表的なものは日本シリーズで、パリーグが指名打者制を導入した1975年以降もしばらくは日本シリーズでの指名打者制は見送られ、パリーグのピッチャーも毎試合打席に立つこととなりました。

そのことにより、シーズン中のレギュラー一人を欠くハンディキャップが生まれます。

また、シーズン中も打席に立っているセリーグのピッチャーと、シーズン中は打席に立たないパリーグのピッチャーとでは、当然ピッチャーの打撃力に格差が生じます。

そういった不利な条件を緩和するため、1985年の日本シリーズから、隔年で指名打者の導入がなされました。

現在では、セリーグの本拠地では指名打者無しの9人制、パリーグの本拠地では指名打者制となり、その不公平感が和らいでいます。

この方式は2005年から始まったセ・パ交流戦でも同じような形で採用されています。

普段は打席に立たないパリーグのピッチャーが、楽しそうに打席に入る光景はなかなか清々しい気分になれますね。

また、セリーグとパリーグの間で行われるトレードでも、影響が生じます。

2023年シーズンオフにFA宣言をしたオリックスバファローズの山崎福也投手は、バッティングも良く、日本シリーズでも投打に活躍しました。

そのため、移籍先としては打席に立つことができるセリーグが有力と報じられました。

結果、同じパリーグの北海道日本ハムファイターズの入団となりましたが、ピッチャーが打席に立たないということが、FA宣言した選手の移籍先にも影響をおよぼすこととなりました。

ピッチャーが打席に立たない指名代打制とは?【まとめ】

パリーグが1975年から採用した指名打者制度によって、数多くの名選手や名場面を産み出し、また興行的にも大きく貢献しました。

一方、9人制を堅持しているセリーグも、2019年日本シリーズ終了後、読売ジャイアンツの原辰徳監督が「セリーグも指名打者制の議論を」と呼びかけました。

しかし2023年現在では主だった動きは見られません。

もちろん指名打者制導入には様々なハードルがあり、選手やプロ野球関係者の間でも意見が分かれています。

一方で、リーグによって試合方式が異なることが、プロ野球のルールの解釈をややこしくさせているのは事実です。

ピッチャーとバッターそれぞれが専門性をいかんなく発揮できる指名打者制度は建設的と思われます。

一方で、ピッチャーが打つ本塁打など、稀に見せてくれる意外性のバッティングは、球場全体が最高に盛り上がるシーンの一つですね。

現代では、アマチュアの世界でも指名打者制への移行が進んでいるようです。

FA制やセ・パ交流戦のように、新しい制度はプロ野球界の活性化につながります。

これからの議論の行方を見守っていきましょう。

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